自省のためのEDM概論

EDMについて真面目に語ることを許して欲しい。

EDMの定義についてもっと積極的に議論すべきではないのか?

先に結論として、僕が考えるEDMの定義を、

 

“EDMとは

①曲の構成要素の内の1つを誇大表現すること

②ビルドアップと呼ばれる強制サビ発生装置を使用すること

①と②のどちらかもしくは両方を用いることで、サビの創出に成功した音楽、電子音楽エレクトロニカ)の一つ”

 

これを詳しく説明しているので、気になったら最後まで読んでいただければと思っています。

てことで本文スタート。

 

・EDMの定義についての一般的な認識

 前回の予告どおりこのタイトルでEDMの定義について考えていきたい。

 

EDMはエレクトロニック・ダンス・ミュージックの略で電子音楽で踊れるものを指します。

 

これが一般的な回答になり、それではEDMの有名な曲を紹介していきましょう。みたいにして続く記事が多い。

何故こんなことになるのか。

理由は分かりやすくて、

 

・EDMは新しくできたジャンルで定義付けられるほど歴史が無い。

・EDMを指す範囲が広すぎる。

・EDMの中にも恐ろしいほど多種多様なジャンルがあり。EDMそのものの定義を語っている場合ではない。

などが挙げられる。

 

Apple musicはダンスとエレクトロニックでEDMとエレクトロニカを一応分けているが、完璧ではもちろん無く改善の余地はあると感じる。

(分けている理由は聴く人の層が全く違うからだろう。)

Sound&Recording(DTM専門誌)とかのインタビューでも頻繁にEDMの定義は?なんていう質問がなされていたが、アーティスト側の回答は

 

・上に示した基本的な回答

・そもそも語る意味あるの?的な回答

・まず、僕がやっている音楽はそういうジャンルで縛られるようなものではないです。

 

この3つで8割くらい占めている。

3つ目の回答はかっこいいし言ってみたいけど、いや明らかEDM!!!!そこ否定する!?と思わなくも無い。かっこいいけど。

最近はこういう質問をまず投げかけるといったこともしていないような気もする。

(これはEDMが浸透している結果だと思うし悪いことではない。)

 

 で、まぁもう語らずとも曲を聞けばEDMかどうかぐらいは分かるじゃん!という状況の中で、あえて定義について語る理由としては、

・いまだに知恵袋とかでEDMの定義とは何ですか?という質問が多く寄せられている。

(それに対して適切で納得できる文章は少ない。)

・ジャンルとして確立し、地位を得た中で、さらに前進するためには歴史を整理すべきである。

 

1つ目は単純に需要の話であるが、2つ目が非常に重要だと思っている。

2つ目を達成するために2010年あたりから1年ずつのEDM年表みたいなのも作れたらなぁ、と思っている。

(結構大変そうだし漏れは大量に発生しそうだから、作った場合指摘があればどんどんとして欲しいな。)

2010年あたりから考えればデータは8年間分あるわけだし、これからもどんどん増えていくわけだから、そろそろ基本的な議論は成熟させていかなければいけないのでは、と思っている。

避けて中のジャンルの話(Dubstep、Future bass等々)を進めるとどんどん混沌さが増していってしまう。

歴史は大切。

 

 ここからは僕が思うEDMの定義について語るのだけれども、議論が重要であると思うし、僕、私のEDM論みたいなのをバンバン語っていくことが大切だと思います。

まず、EDMのEはエレクトロニカのEなのでエレクトロニカについて少しだけ。

起源とかここから派生してきたよーというのも、まさしく歴史なのだけど何といってもそこら辺の知識はほぼ無いので詳しく書いてくださっているところを読んでいただければ、、、

後そこを語らずともEDMについてしっかり語れると思っている。というのもある。

 

エレクトロニカについて

 エレクトロニカについては簡単で電子音(シンセサイザー)を使っていればエレクトロニカだと言える。

一番分かりやすい例が、冨田勲先生の「月の光」だと思う。(すごいのでぜひ聞いてね。)

 


冨田勲 「月の光」  Isao Tomita / "Clair de Lune"

 

ドビュッシーの「月の光」を全てコンピュータとシンセサイザーで製作したというもので、「月の光」自体はもちろんクラッシックであるが、シンセサイザーで演奏したことエレクトロニカとして表現されている。

じゃあ、電子音を使っていればEDMか、といえばエレクトロニカの中の1つのジャンルなのでシンセサイザーを使っているというのは必要条件ではあるが必要十分条件ではない。

では何か。

 

・EDMの定義とその例

“EDMとは

①曲の構成要素の内の1つを誇大表現すること

②ビルドアップと呼ばれる強制サビ発生装置を使用すること

①と②のどちらかもしくは両方を用いることで、サビの創出に成功した音楽、電子音楽エレクトロニカ)の一つ”

 

これが僕の考えるEDMの定義。(サビは用語的にはドロップ)

定義っぽく辞書風の表現にしてみた。

曲の構成要素というのはベースとかドラムとか。

 この定義について、例としてはダブステップが一番分かりやすいと思う。ダブステップはベースを誇大表現することで完全に主役に躍り出ている。Dubstep=skrillexということで。

 


SKRILLEX - Scary Monsters And Nice Sprites

 

他にも主要なジャンルで考えると、、、

Bass houseもベースを主役にしようとする流れ。

Bass houseのベースはPluck音系のベース。

 


Oliver Heldens - Gecko (Original Mix)

 

Jauzが提唱したBass houseはhouseの中でもダブステできるよ?ってことだと思っている。

 


Jauz - Deeper Love (Official Music Video)

 

シンセだけじゃなく声だけでサビを作れるぜ!っていうのが、Major Lazer&DJ snake「Lean on」


Major Lazer & DJ Snake - Lean On (feat. MØ) (Official Music Video)

 

声がサビ用に誇張されているし、これは発明!初見はみんな「なんじゃこりゃあああ」ってなったはず。

今流行りのFuture bassはコードを誇大表現している。

 


Martin Garrix & Bebe Rexha - In The Name Of Love (Official Audio)

 

 どれも人を躍らせるためにとにかく大げさに行こうぜって言っている。(音楽との会話)

 BigroomとかTranceとかProgressive houseとかはエレクトロニカにあったシンセの音を拡張させて誇大表現した結果だと考えていて、EDMというジャンルがエレクトロニカから派生してきた故の一番最初の着眼点として当然の流れといえるし、そこからベースもサビにできるぜ!声でもいけるぜ!とどんどん幅を広げていきジャンルとして現在の地位を得るまでになったと考えている。

 EDMの歴史はサビをいかにして発明するかの歴史であり、これからも”何か”を誇大表現することでサビを生み出していくはずだ。

 

・ビルドアップに関して

 ビルドアップは、明らかにEDM特有のもので長さを気にしなければ9割方あるし、ビルドアップの有無でEDMかどうかを決めてもいいかもしれないけど、chill系のEDMで一瞬音が消えてその直後にサビみたいなのもあるので上述の定義の①と②の一方でも満たしていればEDMとして良いこととした。Flume「Never be like you」とか、

 


Flume - Never Be Like You feat. Kai

 

Future bassとしてコードを前面に押し出している。

逆にビルドアップはあるけどサビでの誇大表現がなされていないものとしては、

 


Cashmere Cat - Mirror Maru

 

カシミアキャットはそういうの多い気がする。

 

・まとめ

 もちろんこの定義から外れているけれどEDMじゃん!っていう例外はあるとは思うが、9割9分は適用されると思っている。

EDMは頭空っぽにして踊るのが最高ですけど、色々考えながら聴いてみるのも楽しいと思います。

これからは、EDM年表とかAviciiとかskrillexの何がヤバイのかとかを書けたらいいなぁと思ってます。